繊研新聞の特集記事から考える「売れ筋に頼る販売」からの脱却方法とは?

こんにちは、ヨツモト です。

1/5発刊の繊研新聞に掲載されていた「21年繊維.ファッションビジネスが取り組むべき課題」の中に「生産調整から見える施策」という記事が掲載されていました。

記事の内容自体はアパレルの年間生産額を100%とすると建値消化率が47%しかなかった。
でも、このコロナの影響で来SS生産調整が平均70%となりそう。
この生産額前年比70%で前年の並みの売上を確保できれば建値消化率は67%あたりまで上昇し、売上た利益は前年並みですが消化率は良化し供給過剰がようやく是正される。
そんな内容です。

この記事自体はとても納得なのですが、この後に続く記述に「?」がついたので記事を書くことに。

店舗が売上不振の言い訳を「売れ筋がない」ことにしないといけない理由とは?

「売れ筋のフォローが利かないから予算や前年には届きません」というような販売ではNGなのです。
お客様のニーズを的確に把握し、それに応じた商品をおすすめする販売に戻らなければならないのです。

確かに売れ筋が切れた途端に店舗の売上が急下降してしまう事例は結構多く、僕の元へ相談に来てくださる企業やブランドの「改善したい点」としてもよく上がります。
この問題点の解決策については後述するとして、その前に「売れ筋のフォローが利かないから予算や前年には届きません」というような販売ではNGなのです。という点に「?」がついたのですが現役販売員の方が読んでいると「おいおい」と突っ込みたくなるのではないでしょうか?

現役でなくても店舗で販売業を経験した方であれば同じ感想かもしれませんが、未経験の方からすれば何故「おいおい」なのかとお思いだろうと思います。

確かに売れ筋が無くなっても他にある沢山の商品を売ればいいじゃないか!というのは正論です。
ですが店舗からすれば、以下の2つもセットで解決して欲しいんだけどって感じなんですよね。

①商品1つ1つが何故お客様に必要なのか?
簡単に言えば「なんでその企画がこのシーズンに商品として生まれてきたのか?」「誰にどんなシーンで着て欲しいのか?」をちゃんと考えて企画してください。って話ですね。
全てではないですが今の商品を見ていると「なんとなく売れそう」「皆んなに売れそう」で作られているような商品が多い。
店舗でお客様に販売する側とすれば、意図のある商品企画と、その意図をしっかり伝えてもらえるインフラを整えてくれれば、少なくとも今よりは売れ筋商品に頼る事なく販売でき売上も作れると思います。

今も昔も「店舗の人たちで誰にどうやって売るのか考えてね」とされている事の方が多いと思います。
世間でいう「トップ販売員」の人たちは自然とこれを考えてやってますが、全ての販売員にこれを自然と求めるのは無理がある。
店舗の「マンパワー」に頼るのではなく、しっかり誰でも売れ筋以外をオススメできる情報伝達と体制を整えるのは最低限必要なのではないでしょかね。

②前年売上の成長前提予算の根拠
「本年度の売上予算は前年売上の103%で設定していますので、よろしく!!」てな感じの会話が年度はじめの際に行われます。
店舗としては与えられた予算に対して尽力するのが当たり前ではあるのですが「前年までの在庫予算で作られていた売上に対して今年70%しか生産ないけど前年以上売ってね」では「まじか」と心の中で叫んでいるのが現実でしょう。

生産70%であっても前年から持ち越しの在庫もあるんだからイケるイケる。なんて簡単なお話だったらいいのですが、当然持ち越しの在庫には偏りもありますし、そもそも生産金額は減っているのに予算が上がってるって疑問じゃないですか?

僕はこの「常に前年売上から成長を見越した予算」の組み方自体にそろそろ限界がきているのでは無いかと数年前から思っています。
インバウンドはあったにせよ、日本の人口、特にファッションに一番多感な若年層は年々減り続けている。
これに反して店舗数と商品数は増え続け、1店舗当たりの来店数が減っている。
しかも過去と違ってお金を使う先が「服を着る=おしゃれを楽しむ」以外の多彩な選択肢と競争している。

こんな状況の中で「常に前年売上から成長を見越した予算」の考え方自体に無理がでてきているんじゃないかと思うんですよね。

成長をのぞむ姿勢がダメなのではなく、特に考えもなく前年にプラス何%で組みました。では店舗も納得できないと思うのです。
前年以上に売上を見込める根拠を店舗にしっかり示す事が必要なんじゃないでしょうか。

この2つがクリアされれば「売れ筋が無くなったので」なんて言い訳ができなくなりますし、恐らく今よりはしなくなるでしょう。

売れ筋に頼らないセールスを身につけるには?

もちろん、店舗でのセールススキルを向上していくのも必要です。
前述しましたが「売れ筋が無くなったら売れない」問題点が存在するのは確かです。

でも、この問題点は売れ筋しか売れないのではなく、お客様の抱える「問題」をヒアリングできていないからです。

よく接客の参考書には「お客様のニーズを聞き出せ」とありますが、そもそもニーズは問題がなければ生まれません。

ニーズとはお客様が抱える「問題」を解消したい欲求から生まれます。
よく「ニーズ」を聞き出せとありますが、ヒアリングで重要なのは「問題」を聞き出す事です。

〇〇で困っている(問題)だから〇〇したい(ニーズ)

問題をヒアリングせずにニーズを解消する提案を行ってしまうとニーズにはあっているが問題を解決する理由にはならず購入に繋がらない場合が多くなってしまいます。

例えばお客様のニーズが「白いシャツを買いたい」だった場合。
〇〇に困っているとういう問題をヒアリングしなければ店内の白いシャツを全てプレゼンテーションするか、もしくは通勤着が古くなって困っている等の予想でプレゼンテーションをしなくてはなりません。

上記の予想が当たっていれば良いですが「結婚式に来ていく白いシャツが無いので困っている」であればニーズを満たすことができません。
お客様が伝えたニーズであっても、ニーズが生まれる問題を知ることによって適切なプレゼンテーションができるようになるのです。
そしてニーズを方程式で理解するならこうなります。

<ニーズを作る方程式>
お客様のなりたい姿(ゴール)ー今のお客様の姿(問題)=具体的な欲求行動(ニーズ)

売れ筋もいるし、それ以外も売れるセールス力もいる。

予算を達成したければ、結局はどれも必要です。
商品企画チーム、事業管理職、店舗のどこかが頑張れば解決する問題ではなく、それぞれのカテゴリーで問題解決に努めていく。

その中で店舗のセールス力を集中的に向上させていきたいのであれば、ご相談くださいね。↓
店舗の販売からデジタル支援までの総合セールスコンサルティング会社PLAY inc

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